ラテスパペットの開発秘話
私は美容業界にいながら、ずーっと「エステをしている?」とは思っていられなくて、私のしていることは一体何なのだろう?と実はわからないまま、技術の考案をしていました。
思いつくことと言ったら、赤ん坊を初めてお風呂に入れたとき、多分何も知らなかったはずなのに、まるで教えてもらったように出来たこと。ほっこり眠らせてしまうように出来た日や、泣かせてしまった日のこと。
自分が吹き出物だらけの時、メイクで隠して元気そうにしていても、本当は苦しかった気持ちなどもありました。
そんなことを参考にして技術を考えていくと、不安なとき何の意味もなく抱きしめられたら、きっと何か一つ涙が消えるのかもしれない、私にも何かできるかもしれないと思い描いて技術を考えました。
長い月日が過ぎたある日、トリマーさんとの出逢いは私の長年の悩みを解消することになりました。
ゲージの中で震えていた保護犬に、トリマーさんが声をかけながら抱きしめて、傷つき、毛玉だらけの犬を撫でて優しく見つめていました。体をきれいに洗ってからオムツをつけてサロンの床におろされると、まるで別人…別犬?いたずらっこでやんちゃで、みんなが同じサロンの床で遊んでいた中でいちばん元気な、わんぱくワンちゃんでした。
すぐに新しいお家が決まって、今もやんちゃでかわいがられているのでしょうと思っていますが、その保護犬だったワンちゃんが私に自信を与えました。ラテスパをすると、その子の臭いや尿やけがあっという間に外から見ても触ってみても可愛くなったことが分かりました。その上、その子を気持ちまで伝わってくるようになりました。その子の日常、飼い主さんとの関係が想像できてしまいました。
生後わずか40日くらいから人の世界で生活をするのが、ごく普通の“ペット”と呼ばれる犬たちにとって、母犬の毛繕い、グルーミングは無かったも同然です。その後のワンちゃんの人生は飼い主さん次第です。
トリマーさん看護師さんを第二のドクターとしてリスペクトするのは、毎日いろんな生き方をしていた犬たちを幸せにしているからです。
老犬、認知症、床ずれ、脱毛、etc.最後まで面倒を見ているサロンのトリマーさんが、さっぱりと眠りが楽そうにしている犬の姿を見て、本当に幸せそうに、ラテスパのグルーミングに出逢えて良かったと私につぶやいてくれた時、本当に役に立つ仕事ができていることに、自分のしてきた技術を自分でほめることができました。やっぱり間違っていなかったと思うことができました。
私は、アトピーとか、ニキビ、シミのことを肌のトラブルとだけ見たのではなくて、心の傷と感じていました。肌トラブルを喜怒哀楽で考えていくようになりました。 だから慰めるのではなく、がんばれとその人の笑顔を求めました。80才でシワを気にしていた人が、シワなんて消えるどころか増えるほどと二人で笑ったことがありました。とてもキレイで羨ましいほどでした。
「いい子、いい子、ちょうでしゅか…」技術中に出てくる言葉は赤ちゃん語…。エステ業界でその言葉を使っていた私は確信的に変わり者、変な人と言われていたのも日常でしたが、トリマーさんと仕事ができるようになって私はどこも変な人ではなくなりました。トリマーさんは私と同じ赤ちゃん語を使います。
ラテスパをすると表情が豊かになる犬たち
「今日はイタイイタイしないの?」
「ジャージャーしないの?」
それまで吠えたりしていた子の頭を撫でて、いい子いい子と話しかけると不思議そうに私の顔を振り返ります。
グルーミングは癒しの技術、心を柔らかくする技術、犬たちとの会話のできる技術だと思います。